港区 白金高輪の心療内科・精神科|白金メンタルクリニックの一言日記

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一言日記 心の医者が読み解く今日の世相

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一言日記~ 心の医者が読み解く今日の世相 ~

(2018年8月6日 10:20)身体危機の心理と法律

あぶない時代になってまいりました。多くを語らずとも世相が其れを告げています。そこで貴方が貴方を護るという心のあり方を少し紐解いてみましょう。
◎一喝の危険
 犯罪をする者は小心者で、常にオドオドしているという認識は、毅然とした態度、複数で対応といった防犯教育を生み出してしまいました。然し、近年では薬物がらみや、不健康生活による心身不調など、其の襲撃者の背景にはあらゆる人生エピソードが潜んでいます。ただ一つ覚えて頂きたいのは、相手は必ず何らかの凶器を隠し持っているという認識です。大勢の人が協力してくれるから取り押さえれると、強気になって大声で恫喝し多人数で取り囲むことはもっての外で、却って相手に凶器を使わせる環境を作り出してしまいかねません。彼らに萎縮という概念は無く、むしろ逃げるたには手段を選ばないといった心理があるだけです。

大切なのは凶器を使用させる程、事態を悪化させないよう無用な刺激は控え、距離を保ちながら、自分で可能なら自分が、もし対峙している状況なら、誰かに110番といった連携が必要で、また救援を依頼する合図のようなスタイルの研究も急がれます。信号ことを全く恐れていません。仮に貴方が腕に自信があったとしても過信は禁物です。

毅然とした態度や、複数で囲み大声で一喝することも避けて下さい。犯行を行い、または行うべく計画し、または今犯行が終わったという相手は異常な興奮状態にあるからです。したがって呆然と云うスタイルは、ひるんでフリーズしているスタイルとは全く別物です。彼らには恐ろしいという感覚はなく、静かにおとなしくしていると思ったら、突然飛び掛かられたなどの事例は枚挙にいとまがありません。毅然とした態度は却って事態悪化を招きます。

◎法律
1、護身用具
襲われるかも知れない。だから催涙スプレー、スタンガン、こん棒を?まず人に危険を思わせる物や凶器となりうる物の携帯は其の正当性が説明できない限り、単に護身のためは違法です。また其れを持っていたために、つい使ってしまうので絶対に持ち歩かないで下さい。護身用具の携帯には、其れを携帯しないと身体の安全が保てないなど、極めて明確な理由が必要です。また、それほど差し迫っているなら、先ず付近に身を守れるものはないか。どう逃げれば良いかを考える方が得策でしょう。逃げれば、少なくとも危険は一時的に回避できるからです。

2、正当防衛(正立困難) 
 正当防衛は中々成立するものではありません。先ず身体生命の危険が現在進行中であることは絶対条件です。最も大切なのは、貴方の攻撃力が相手の行為(凶器や行動)を下回っていなければなりません。例えば果物ナイフを振り回している相手に、其の顔面めがけて工事用スコップで水平打ちする行為は、力のバランスから正当防衛とは認められません。最大の正当防衛は常日頃のイメージトレーニングと、周辺観察による防御物使用で臨みましょう。まして喧嘩は論外です。お前が先に手を出したからの論理は通用しません。双方とも当事者になってしまいます。

◎学校職場に常設された護身用具
1、刺叉、カラーボール、ネット発射器(学校、金融機関、市区町村役場装備)
刺叉は、複数で用いても効果薄で、むしろ却って奪い取られる危険性があります。一番効果的なのは足元に集中した刺込みでしょう。転倒するのは確実です。

2、警棒 室内以外持出厳禁(学校・保育所・幼稚園・病院など)
これらの用具は施設管理権に基づき限られた条件と限られた範囲においてのみ設備されるものです。物騒だから、襲われたら怖いからとばかり常時携帯は取締りの対象となります。
3、スタンガン(電撃警棒)

致死性が報告されています。室内に置いておくことは構いませんが、人体に使用すれば思わぬ事故を招きかねません。

4、催涙ガス(ペッパーガス)
相手に噴射したつもりが、結果的に広範囲飛散から周囲にまで被害が及びます。また、明らかに通り魔が予見されタリ、特定の個人に尾行されたりして、現実に危険が進行していること。警察を呼ぶ余裕がないなど極めて其の施用条件は限定的です。

※肝心なことは常日頃のイメージトレーニングです。周囲の地形と時間的環境に眼を配っておけば、日常と非日常は直ぐにわかります。不審な車や、其の場や時間とあわない服装など、あらゆる点が非日常と化していることに気がつく筈です。このような周辺環境観察と緊急時対応のイメージトレーニングを何度か繰り返すことで、いざ危険に遭遇したとき反射的に体が動くものです。これをインプリンティングと称し、一種の反射性刷り込みと理解されて下さい。

5、スマカメの危険
貴方が偶然に騒擾や喧嘩、不審者に遭遇したとき、ここを証拠とばかり携帯(スマカメ)を構えがちです。これは絶対に止めて下さい。まず、貴方がカメラを向ける位置には、相手も其の直線状にいるということです。従って発見された其の瞬間、貴方が襲撃の対象となってしまうからです。まず、整理すると本件の特徴は騒擾や喧嘩です。他の誰かが必ず撮影していますから自ら構えて撮影しようという気概はすてましょう。非常に危険です。

これらから見ていきますと、一つの特徴にたどり着きます。いずれのケースも貴方には逃げるチャンスがあり、また通報するチャンスがあったという特徴です。これら環境が全て奪われ、直接貴方の生命に危険が迫ったとき、身近な物をして已む無く反撃。これが正当防衛の最もポピュラーな基準です。
いずれも不断無きイメージトレーニングの積み重ねです。近くに何があるか。自分は何をもっているか。こんな場合何をしたら良いか。これらを怠り無くイメージすることで得た技術は百戦の武術家をも凌ぐでしょう。

さて毅然とした態度が通用しないならどうしたら良いのかというご質問もあるでしょう。確かに其れを凌ぐ心理技術もあるのは事実です。然し、ここで全てを書けば、別の効果を招きかねません。ご質問は来院時、個々のケースでお話したいと存じます。

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